海外旅行保険にある死亡に関する補償項目。生命保険で既に死亡保険は加入していたり、独身だから家族にお金を残す必要もない、これら場合に海外旅行保険の死亡補償は必要なのだろうか?
今回は、この点を少し掘り下げてみたいと思います。
死亡補償は何故あるのか?何がカバーされるのか?
生命保険の死亡保険とは少し意味合いが違います。例えば、海外で不幸にも死亡してしまった場合を考えてみてください。
外務省が毎年発表している海外邦人援護統計(※)では、ここ10年間では毎年500人以上の日本人が海外で死亡しています。
※出典:外務省「海外邦人援護統計」
遺体はどうなる?
海外で震災やテロ等が起こってニュースが流れると、必ずと言っていいほど日本人が巻き込まれたか報道されていますよね。日本国政府は海外で日本人が死亡した場合、ひょっとしたら国費で遺体を運んでくれると勘違いしていませんか?
答えは、「No」です。
仕事で海外に行っていれば会社が労災ということで費用を賄ってくれることもあるかもしれませんが、プライベートの場合にはそうはいかず、ご自身の資産や日本にいる家族が遺体搬送費用を負担しなければいけません。
遺体搬送にはどれくらい費用が掛かるの?
日本に遺体のまま搬送する場合と、現地で火葬して遺骨を持ち帰る場合の2パターンがあります。
- 遺体のまま日本に搬送して葬儀・火葬を行う場合
遺体をそのまま飛行機に乗せて帰ることは出来ないため、必ず遺体防腐処理(エンバーミング)を行ってから運びます。また、飛行機も客室に乗せることは出来ないので通常とは異なる輸送設備・費用の負担が必要です。国や地域によって費用は異なりますが、遺体防腐処理費用:数十万円、遺体搬送費用:100万円~数百万円が掛かる計算になります。その他、日本に到着してから葬儀場や自宅に運ぶまでの搬送費も掛かります。
また、火葬の際には、現地医師の「死亡診断書」も必要になります。
- 海外現地で火葬・遺骨を日本に持ち帰る場合
そもそも海外では習慣・宗教等により火葬は一般的ではありません。火葬の習慣がある台湾では、数万~数十万円の費用で行うことができます。また、日本で納骨する際に現地での「火葬証明書」が必要になりますのでお忘れなく。
これらの手配や手続きは、海外旅行保険に加入していることで損害保険会社が家族が駆けつける渡航の手配から現地での遺体搬送および各種手続きをサポートしてくれます。
遺体搬送費用、どの補償でカバーされるの?
海外旅行保険やクレジットカードにセットされている保険の救援費用で遺体処理費用(100万円が限度)と遺体搬送費用は支払われます。が、死亡前に手術費や入院費で治療・救援費用の保険金額を超えてしまっているケースも考えられます。特に、クレジットカードの保険の場合、この補償がゴールドカードでも200~300万円に設定されていますのでご注意ください。
そこで、必用になってくるのが海外旅行保険の「死亡補償」です。
単純に「死亡補償」といっても以下の2通りがあります。
- 傷害死亡
海外旅行中の事故によるケガが原因で死亡した場合に保険金が支払われる補償
例えば、テロや犯罪に巻き込まれる、車に轢かれる、ビーチで遊泳中に溺れるなどが原因で死亡した場合です。
※保険会社が定める危険なスポーツ(スカイダイビングやハングライダー、飛行機の操縦、冬山登山など)や海外での自動車運転時の事故は保険金支払いの対象外です。
- 疾病死亡
海外旅行中に発症した病気や感染症が原因で死亡した場合に保険金が支払われる補償
※治療中の病気(現症)がある場合、その病気の治療費は対象外です。
まとめ
- 海外旅行保険の死亡補償は、遺体搬送費や遺体処理費用を賄う補償として必要
- 各種手続き・手配も海外旅行保険に入っていれば保険会社が安心サポート
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